ATTACHMENT × junhashimoto

WRINKLE HOOK SHIRT / SLIM BANANA PANTS

ATTACHMENTとjunhashimoto。お互い存在は知りつつもこれまで一度も接点はなかった。
そんな両ブランドのコラボレーション──
きっかけは両者をよく知る栃木のセレクトショップ『マーキュリー』の声掛けだった。2015年にオープン10周年を迎えたマーキュリーでは、記念コレクションの目玉としてインパクト絶大なこのコラボレーションを密かに画策していたという。ブランド同士の接点はなくともマーキュリーとは古くから縁の深い両者。しかも、そのオファーは誰しも心を揺さぶられるほど熱意に満ちたものだった。それならば…と夢のコラボレーションが動き始めた。

junhashimoto JUN HASHIMOTO

ATTACHMENT KAZUYUKI KUMAGAI

今回のコラボレーションのお話を受けて、率直にどう思いましたか?

熊谷マーキュリーさんからの依頼でしたので、とにかく受けようとは思いました。ただし橋本さんとは面識がない。そのうえ、お互いわかりやすいアイコンなどのないブランド同士ですから、さて何を作ろうかな? というのが正直な感想でしたね。

橋本僕もほとんど同じ感覚でした。お互いトータルブランド同士じゃないですか。やろうと思えば自前で全部できてしまうわけですから、本来はコラボレートする意味がないと思うんです。でも、僕としても断る理由はない。だからまず、両者の絶対的な違いは何かと考えました。そこで思い当たったのが素材です。僕のなかでATTACHMENTといえば、シンプルなデザインをこだわりまくった上質なオリジナル素材で仕上げるブランド。一方、僕がもっともこだわっているのは、着た時にいかにスマートかつ男らしく見えるかということ。素材に関しては、むしろ加工や仕上げが重要で、それに合う生地をセレクトすることに重点を置いています。ならばATTACHMENTの生地とjunhashimotoのカタチの融合というのが、もっともスムーズなんじゃないかと思い、提案しました。

熊谷たしかに僕は素材を作るのがすごく好きなんですよ。もちろん費用はかかりますし、無駄といえば無駄なんですが、結局は作らないと納得できなくて(笑)。パリコレに出している『KAZUYUKI KUMAGAI ATTACHMENT』のラインに関しては、全アイテムがほぼオリジナル素材という作り方をしています。だから話を聞いた時、すぐに「いいな」と思いましたね。

お互い相手に対してはどんな印象をお持ちでしたか?
また、実際にお会いになってみていかがでしたか?

熊谷僕にとっては『wjk』(wjkとは橋本が2004年に設立したブランド)が世に出てきた時のインパクトがとにかく強烈で。男の定番的なアイテムをちょっと特殊なニュアンスで提案しつつ、同時にショップも含めてトータルイメージを打ち出すというやり方に衝撃を受けました。実際あの頃、wjkの直営店でもないのに真っ黒なお店が増えましたよね(笑)。だから橋本さんに対しては、優れたデザイナーであると同時にプロデューサーとしての能力の高さを感じていました。今回のコラボに関しても、テーマの出し方やアイデアの引き出しの多さなど、やっぱり同じものを感じます。

橋本僕は正直、コラボレーションでATTACHMENTの名前が出てくるとは思わなかったので、初めは恐る恐るという感じでした。熊谷さんにはちょっとコワいイメージもありましたし…。でも実際に会ってみて、思いのほか話が合ったのでホッとしています(笑)

具体的な商品については、どのように決まったのですか?

橋本初期のwjkのインパクトがすごかった、という話を熊谷さんから聞いたので、だったらあの頃の“ザ・オトコ”みたいなイメージを今っぽく復活させたら面白いんじゃないかと持ちかけました。アイテムも初期のヒットアイテムであるリンクルシャツとバナナパンツがいいんじゃないか、と。

熊谷リンクルシャツ、バナナパンツ、M-65がwjkの3大アイテムという感じでしたから、とてもいいなと思いましたね。そして、リンクルシャツと聞いた時点で、今回採用した生地が合うなと直感しました。実際、出来上がったサンプルは想像どおりでした。素材がよくなじんでいて、いい感じに仕上がったと思います。

橋本リンクルシャツって生地の織りが甘めのほうがハマるんですよ。だから、僕も熊谷さんから生地を見せてもらった時、コレはイケルなと思いました。パンツに関してはシンプルな5ポケットのバナナパンツなんですが、実はバックスタイルにお互いのアイコンが効いているんです。

ATTACHMENTの"ヒップダーツ"とjunhashimotoの"玉縁ポケット"ですね。

熊谷あのダーツは10年ほど前にKAZUYUKI KUMAGAI ATTACHMENTの海外展開を始めて以来、一貫して5ポケットのパンツに入れています。海外進出に際して、ひと目でATTACHMENTだとわかるアイコンが欲しかったんですが、ロゴ的なものはどうしても入れたくなかった。そこで思いついたのがあのダーツでした。おかげで今では、アレがなければ欲しくないというお客さんもいるくらい浸透しました。

橋本僕の場合も似ていて、やっぱり何かアイコンが欲しかった。でも、5ポケットパンツのバックポケットに変なステッチは入れたくなかったんです。じゃ、どうしようかと考えていた時ひらめいたのが、右のバックポケットの上にもうひとつ玉縁ポケットをつけてしまうというアイデアでした。それにしても、両者のアイコンが揃ってオシリに入ったパンツというのは、結果的になかなか面白いなと感じています。

パンツの生地ももちろんオリジナルなんですよね?

熊谷そうですね。なかでも白のほうはこの企画専用のオリジナルです。黒はブランドの鉄板なのですぐに用意できる生地があったんですが、白は現在やってない。ですが今回、橋本さんのほうから出た「黒と白で」という提案は面白いと思いましたので、新たに作りました。

橋本やっぱり熊谷さんのオリジナル生地へのこだわりはすごいですよ。僕は逆に素材を選ぶほうが好き。改めてお互いの得意技が見事に噛み合ったなと感じています。

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